荒川区議会のコロナ対応(2020年5月)

 さて、この掲示板はどこにあるでしょうか?答えは、荒川区役所の正面玄関に向かって左側にあります。どんなことが掲示してあるかと言えば、私もそれほどしょっちゅう見てる訳ではありませんが、工事の告示や税の通知・介護保険の督促・差押え調書の公示送達(郵便物が届かない為に公示をして郵送に代えるもののようです)、保育・介護施設の指定、住民票の職権消除、自転車の撤去日、道路の指定、等々。そして、我が「荒川区議会開催の告示」も貼られます。地方自治法は、住民への周知などのため、「告示」から開催まで7日間取ることを定めているとのことです。
 今年の春は、どの自治体でも新型コロナウィルス対策に追われましたが、後に評価を問われるところだろうと思います。国の補正予算が4月30日に国会で可決され、特に関心の高い国民1人10万円支給が決まったので、どれだけ早く給付できるか自治体間で競争するような様相を呈していました。国の決定を汲んで現場を持っている各地方自治体の議会が補正予算をいつどのようにして可決し、業務開始ができたかは自治体ごとに大きく違っていたようです。7月10日の朝日新聞によれば、港区や江東区は区長専決処分(本来は行わなければならないが、緊急等の理由により、議会の議決・決定を経ないで、首長が先に処理すること)を行ったようで、町田市議会は臨時会を5月7日に開催して補正予算可決、8日に業務開始したようです。
 荒川区議会はというと、もともと予定されていた5月1日の開会会議で補正予算の審議も行い、可決しました。国の決定の翌日ですから、相当な速さです(7日のうちに議案送付等を行います)。4月24日の午前に幹事長会があり、午後に掲示板に開会を告示。臨時会開会の場合は議案を提示しなければならないが、定例の本会議の開会会議なので案件は掲示しなくても良かったというのも速かった理由です。10万円の給付金は前評判で予想されてはいたものの、翌5月1日の荒川区議会の本会議に掛けれたのは、通年議会のなせる業でしょう。区長提出議案1号で、総額 233 億円余の第 1 回補正予算を可決、この中に国の特別定額給付金事業220 億円が入っていました。
 5月1日にコールセンター設置、7日からオンライン申請開始、28日から郵送による申請書発送、生活困窮で困ってる人には、区ホームページよりダウンロードした「申請書(特例用)」か区民事務所の申請書で郵送申請で始まりましたが、その後オンライン申請は間違えが多いこともあって中止となり、郵送のみで対応することとなりました。特例申請の方は5月14日から給付開始、初めの頃にオンラインで申請した方は1ヶ月後の6月5日には振り込まれたようです。誤支給1人、最終的に8月末までで必要な人には無事支給ができました。地方の人口の少ない自治体の様な素早さは無理だけれど、21万人の自治体としては、議会と区行政の協力で速やかな対応ができたと思います。
 その後は、荒川区独自の新生児に対する特別定額給付金事業(1人あたり10万円給付)を受け付けています。対象は、①令和2年4月27日時点から10月9日(ただし、10月10日以降に出生した場合は出生の日)まで、引き続き荒川区に住民登録を有している世帯に生まれた新生児、②令和2年4月28日から令和3年4月1日の間に生まれ、出生により荒川区に住民登録された新生児です。申請しなくても郵送でお知らせがいくそうです。
 ちなみに明治通りに近い方の掲示板には、「東京へ帰せ!」の北朝鮮拉致の警視庁のポスター、「ご遺族を探しています」の広島市・長崎市の原爆での「供養塔納骨名簿」や「無縁死没者遺骨名簿」を記載したポスターや、様々啓発ポスターが掲示されていました。今年は戦後75年。私は戦後たった25年で生まれたんだというのを改めて再認識した年でもありました。子どもの頃に傷痍軍人らしき人が路傍にいたのを見たことがありましたが、すぐに見られなくなりました。戦後75年を機にと、『失敗の本質』『それでも日本は戦争を選んだ』『日本人の歴史認識と東京裁判 』『菊と刀』等々戦争関連の本も今年は読ませていただきました。戦前・戦中・戦後の対応から日本人の特質が、やっと知命の年になって分かりかけてきたなぁと思う今日この頃です。