一般質問(2017年9月会議)
明戸まゆみ
自由民主党の明戸まゆみです。一般質問の機会をお与えいただきました同僚議員の皆様に大きく感謝を申し上げます。
本年7月31日にIMF国際通貨基金は、公表した報告書で「日本は急速な高齢化で労働力の減少に直面し、改革をより急ぐ必要がある」と強調しています。現時点では、日本の人口減は避けようがない未来予測となっており、労働力不足、社会保障費の増大、インフラの老朽化、低成長の経済と様々影響が推測されています。一方、国連の予測によれば、世界の人口は2050年には約98億人に増えるとのこと。人口減の日本が100億近くに膨れ上がる世界の中で、どのような展望と戦略を持ち、行動するかで大きな違いが出てくると思います。
以前、区長が紹介されていた原丈人(はらじょうじ)さんの著書『「公益」資本主義』という本と、博報堂行動デザイン研究所・國田圭作(くにたけいさく)さんの『「行動デザイン」の教科書』という本を読みました。新しい時代の息吹が感じられ、大変勇気づけられました。
原丈人さんはアメリカの大学で経営学を学んだ方ですが、この著書の中で英米型の資本主義の限界を指摘しています。グローバリズムの波の中で、日本も大きく制度を変えてきました。「公益」資本主義とは、日本型の「売り手よし、買い手よし、世間よし」の企業経営であり、改革のための処方箋とそのルールを世界に発信しようという本です。「会社は社会の公器(こうき)」(おおやけの器(うつわ))であり、会社は株主のものではなく、短期利益を求めず、企業家精神による絶え間なき改良改善をするという会社像ですが、もし世界的に実現できれば、格差や働き方の問題の多くが改善できるのではないかと思いました。
『「行動デザイン」の教科書』は、もう限界であろうと思われるマーケティングの戦略が、「行動」をキーワードに世の中を見直すと色々見えてくるという本です。商品開発や企画・宣伝について書かれた本ですが、自治体でも大いに参考になると思いました。「行動デザインのツボ」というものがあり、「対決(けつ)させると人は動く」「限定されると人は動く」「選択させると人は動く」等、行動アクセルを加速する系と、「お膳立てされると人は動く」「ファッションで人は動く」「名前をつけると人は動く」等、行動ブレーキを緩和する系の2種類18コのツボを押さえれば、荒川区の政策やイベントを考える時のヒントになるのではないかと思いました。
荒川区では平成28年3月に「荒川区人口ビジョン」と「荒川区しごと・ひと・まち創生総合戦略」を策定していますが、すでに実施している多くの取組みに加えて、「基本的方向」に沿った形で、新たな「成長戦略」を考えなければならないと思います。まずは、全体を見渡した「人口減と成長戦略」について、「総合戦略」策定から2年程経過して新しく加わったものも含め、どのようにお考えか、区の見解を改めてお聞かせください。
「人口減」と「成長戦略」の両方に関わる「出生率向上」のためには、「子育て環境の向上」が鍵となってきますが、荒川区は率先して推進してきました。保育園を毎年開設し、乳幼児全戸訪問、特定妊婦支援、24時間の電話相談、多彩なふれあい館事業、新生児・3歳児への絵本の贈呈、私も質問させていただいた病児・病後時保育、今年から始まった「産後ケア」、産後ケア事業では東京リバーサイド病院の協力を得てすでに7名が利用したそうですが、多様な子育て環境の充実に取り組んできており、高く評価するところです。
まさに日本一の高いレベルだと思います。「若い世代の出産・子育ての希望をかなえる」には、いま1つ区民からお聞きするところでは、2月の予算委員会でも質問させていただきましたが、保育園入園の手続きが複雑になってきており、入れなかった時も含めて適切な情報を得る場所が分からない、保育園について総合的に相談する場所があればという声がありました。国でも「子ども・子育て支援新制度」の中で提唱している「保育コンシェルジュ」を荒川区に設けることを提案いたします。
また、別の方からのご要望では、現在荒川区の認可保育園では0歳児の延長保育が認められていないのですが、生後9ヶ月にもなれば親も子も保育園に慣れてくるので、1時間でも延長ができる選択肢があると良いとの声でした。生後9ヶ月と言えば、あと3ヶ月で3時間までの延長保育が認められるようになる時期ですが、いきなり3時間認められるというよりは、認証保育園の0歳児の延長保育実施を考え合せると、傾斜的に緩和して生後9ヶ月で1時間の延長保育の選択も可ではないかと思います。しかし、荒川区の保育スタンスとしては、時期尚早のようですので、後の議論を待つことにして、ここでは「保育コンシェルジュ」の設置について、区の見解を伺います。
次に、オリンピック・パラリンピックとスポーツ振興についてお聞きします。
スポーツは心身を鍛え、健康と運動能力やチーム力の向上に寄与しますが、平成28年4月に策定した「荒川区スポーツ推進プラン」に掲載されている区民スポーツ意識調査によれば、荒川区内で週1回以上スポーツをしている人は38.8%で4割弱となっており、目標の50%に向けて取り組みを進めていく必要があると考えます。
また一方、2020年東京大会開催が決定していますので、これを契機と捉え、ぜひスポーツを推進させてほしいと考えています。そこで、「ラジオ体操」の裾野を広げる取組みはいかがでしょうか。東京都では「みんなでラジオ体操プロジェクト」として、ラジオ体操による大会機運の醸成を実施しています。荒川区内では1年中、毎朝ラジオ体操を実施している会場が50会場以上あります。区でも大会機運醸成でラジオ体操の促進を考えてはいかがだろうかと思います。
ウォーキングやラジオ体操などは、現在は年配の方々が多く参加していますが、子育て世代のスポーツ参加が少ないように感じられます。今年7月に区と体育協会が実施した「親子で体力アップ 笑運動会(しょううんどうかい)」はお笑い芸人に司会等を委託して、玉入れや綱引き、リレーなどの競技を行い、親子が楽しく参加したと聞いております。子どものスポーツ活動の充実とともに、親子でスポーツに参加する機会をつくることが必要だと考えますが、区の見解をお伺いいたします。
次に、オリンピック・パラリンピックに向けた観光戦略についてお聞きします。
以前、東京商工会議所で「ブランド総合研究所」の方が、荒川区の地域ブランドを分析した講演会を聞いたことがあります。その時非常に印象的だったのが、荒川区を画像検索すると、人が写っている写真が非常に少ない、人の写った荒川区の風景をインターネット上に増やすということがブランドづくりの1歩になるというものでした。昨今流行の「Instagram(インスタグラム)」というものがありますが、写真を撮影・加工・シェアできるSNSサービスです。都内にはこの写真を撮るのに面白かったり、楽しかったりする「インスタ映え」する場所があり、多くの人が訪れています。荒川区も写真に撮ってもらって、一般の人に区のPRをしてもらう戦略を考えるべきではないかと思います。
たとえば、区役所の前の荒川公園には多くの像がありますが、婚姻届に来たカップルが一緒に記念撮影すると幸せそうな写真の撮れるフレームのような像や、駅前で待ち合わせができるような「ハチ公」や「池ふくろう」のような像が考えられると思います。
また、イルミネーションや花も考えられます。東日本大震災の電力不足で公園や駅前のイルミネーションは中止になりましたが、最近は外国人観光客の来日目的の1つにあげられる程、都市部のイルミネーションは復活しています。自民党でも荒川遊園のイルミネーションはかねがね要望しておりますが、駅前等のイルミネーションも戦略として加えてはと思います。
花については、荒川区ではもちろん「都電とバラ」を推進していますが、東京都では「花の都プロジェクト」という花と緑で街を彩り、おもてなし機運を高める取組みを今年から開始しております。補助金も出るようですので、一緒に写真に撮りたくなるような素敵な花のディスプレイを仕掛けてはと思います。
また、オリンピック・パラリンピック「開催まであと何日」の表示を日暮里の駅前に設置できないかと思います。成田空港からスカイライナーで最初に止まる駅として、大会開催の機運を高める場所としては最適である日暮里駅には、観光案内所を設置していただいて大変感謝しておりますが、オリンピック・パラリンピック開催に向けた「観光戦略」についての区の見解をお聞かせください。
成長戦略の中で、「産業振興」は重要な分野の1つであることは確かです。少子高齢化により廃業する事業者が増加する中、区内産業が活力を維持し、将来にわたり成長を続けていくためには、創業を増やしていくことが不可欠です。この創業とは、世代交代する際に、新たな事業を二次創業して展開し、経営基盤を強化する取組も含まれると認識しています。
まず、起業に関する区の取組についてですが、区内の商店街で2年程前にサラリーマンをやめて、うどん屋さんを始めたご夫婦とお話する機会がありました。八百屋さんだった店舗を改装して、素敵な店構え、味も良いということもあって、昼間から若いお母さん達で一杯の人気のあるお店ですが、「荒川区の創業支援はすばらしい。こんなに手厚いとは思ってなかった。非常に助かりました」と感想をいただきました。荒川区は、平成26年1月施行の産業競争力強化法に基づき、民間ノウハウを活用した「荒川区創業支援事業計画」を策定し、国から第一号認定を受け、支援に取り組んでいますが、その実績をお聞きします。
次に、事業承継の際に行う新たな事業展開についてですが、区内の中小企業の方々のお話を聞くと、後継者問題で困っているというお話をよく聞きます。区内企業が将来にわたって持続的に発展していくためには、事業承継の際に時代に合った新たな事業展開をすることで経営基盤の強化に取り組むことが重要だと考えていますが、これまで区はどのような取組をしてきたのか、また、区の「創業支援事業計画」は平成30年3月までですが、引き続き区の実情に即した支援が必要だと思いますが、今後はどのように取り組むのかお聞かせください。
団塊の世代の方々が75歳以上になる2025年は、地域において要介護状態にある高齢者が増加すると予想されています。そんな中で昨年、国は「我が事、丸ごと」地域共生社会実現本部を立ち上げ、支えられる側だけにならず、お互いが支え合う地域共生社会の実現を目指していると聞いています。
高齢者の就業状況を見ると年々増加し、70歳以上の方も全国で330万人が働いており、区内でも75歳を定年とする事業所が出てきているとのこと。75歳で退職し、その後、地域デビューや趣味を見つけるとなると、すでに遅い。そのため、早くからワークライフバランスを考え、仕事以外にも趣味を持ったり、地域活動等で充実した時間を過ごすための支援を荒川区がお手伝いするということも必要なのではないかと考えます。
国では、「住み慣れた地域で自分らしい生活を続ける」ことを支えるために、2025年問題の対応として、「地域共生社会」を基盤の1つとした「地域包括ケアシステム」の構築を掲げています。荒川区でも、「地域共生社会」につながるよう、次の第7期の策定における区の方針をお聞かせください。
地域包括システムの構築においては、地域共生社会への取り組みのほか、個々の施策の充実も重要です。
荒川区の「地域包括ケアシステム」の構築には、地域医療と介護の連携は欠かせないものです。医療分野と介護分野の人材が集まって、会議でも現場でも情報共有できる「連携シート」を使ってケース会議を行っているとのことですが、普及はどの程度になりましたでしょうか。
また、昨年から荒川区医師会がICTを活用した多職種ネットワークの構築を開始しているそうですが、介護事業者との連携のためにはいくつかの課題があるとお聞きしています。介護事業者の中には、小規模な事業者が多く、ICT化するための機材の購入が難しかったり、移行するための資金とノウハウに欠けていたり、個人情報を保護するためのセキュリティにお金を掛けれなかったり、区外の事業者との関係をどうするか等これからクリアしていかなければならない課題があるようですが、進捗状況をお聞きします。
また、平成20年の厚生労働省の統計では「終末期の療養場所に関する希望」では、約63%の方が自宅でできるだけ療養したいという希望があるようです。
在宅療養支援の核となってくるのは、地域の診療所です。診療所の中でも「在宅療養支援診療所」の指定を受けている診療所と訪問を行う診療所があり、それぞれの診療所で診察時間も内容もまちまちです。お互いの職域を理解し合い、役割と責任を分け、ドクターとケアマネを中心とした多職種の連携で「チーム・ケア」ともいうべき体制を整えていただければ、安心できる老後が実現できるのではないかと思うのです。
ターミナルケアは、「在宅」「急性期」「慢性期」「介護期」のサイクルの中で、在宅後方支援病床との連携を挟んで、切れ目のないケアを目指すものと想定されています。今回の診療報酬改定で、国は「在宅支援」を強化しようとしていますが、連携が一つのキーワードです。在宅療養に関わる他職種で言えば、訪問看護師や薬剤師、メディカル・ソーシャルワーカーの体制整備や連携も大切になります。とりわけ、在宅における服薬支援について、薬剤師が担う役割は大きいと思います。区としても積極的な取り組みが必要ではないかと考えます。在宅療養支援のための連携へ向けた整備の現状と今後の展望をお聞かせください。
2025年を迎えると、今より年間30万人多く死を迎える人が増える多死社会になると言われています。
最近は病院と自宅の他にも、介護施設も選択肢の一つとなっていますが、自宅での看取りは、戦後は82.5%が自宅での看取りでしたが、1977年頃に自宅と病院の割合が逆転し、近年は13%程度が自宅での看取りを行っているようです。自宅での看取りには、家族の協力やベッド・医療機材の置けるスペースの確保等が必要になりますが、都の調査では自宅で最期を迎えたいと思う人は4割、希望する人全てが望みを叶えられる体制が整ったという状況にはないようです。
本人の意思表示と家族の理解なしには、希望するような「看取り」は実現しません。本人の意識があるうちに、ターミナルケアに関する希望を確認するのは後手に回りがちですが、最後までその方本人の尊厳を守るには必要なことと思います。
また、多くの死を迎えるということは、多くの悲しみに直面する社会になるということです。「グリーフ・ケア」の体制も必要なのだと思います。最近はお葬式をしない人が増えており、残された遺族はもちろん、医療・介護事業者も含め正しくケアされることで、次に進めるということもあると思います。
望んでいる人が選択できるように、自宅での「看取り」をぜひ促進してほしいと思いますが、荒川区ではこれからどのような方針で行っていくのかお聞かせください。
未来社会の守護者である子ども達は、これからの技術革新に合わせて大きく価値観や生活様式が変わる未知の世界を生きることが予想されます。次代に活きる質の高い教育を荒川区で実現することが我々に課された大きなテーマであることは疑いありません。
昨年の参議院選挙から、公職選挙法の改正により、18歳・19歳の方々が投票できるようになりました。投票率は全国的にも低下傾向ですが、選挙制度は民主主義の根幹を成すものであり、投票率低下は大変に危惧される現象です。特に若者は平均を大きく下回っており、主権者教育の充実が叫ばれています。
総務省と文部科学省は、平成27年に「私たちが拓く日本の未来―有権者として求められる力を身に付けるために」と題した高校生向けの副教材を作成しています。小中の学校現場でもアクティブラーニングの実践として活用できる非常にすぐれた内容のものでした。解説編と実践編があり、実践編では「話合い、討論の手法」や「模擬選挙」はもちろん、「模擬請願」や「模擬議会」についても説明がありました。これからの日本社会に必要なものの一つは「議論文化」の醸成だと思います。同時に体験の記憶が大切なのだと思います。
体験型教育の充実としては、模擬投票を授業に取り入れていますが、これまでも東京都青年会議所や教育委員会、選挙管理委員会とで協力して、中学校で模擬選挙を実施してきました。昨年の公職選挙法改正では、投票に同伴できる者の範囲が「幼児」から「18歳未満」に拡大されました。これによって、家庭でも選挙や投票に関して話すことが増え、将来の有権者への有効な選挙啓発にもつながることが期待されます。ぜひ「親子で選挙に行こう!」というようなキャンペーンを行っていただき、区民にもっと知らせていただければと思いますが、いかがでしょうか。
さらに、日常の行事の中で主権者教育を学ぶ機会が増えるように、生徒が「知り、考え、意見をもち、論じ、決める」といった表現力や対話力、合意形成力を育む生徒会選挙など、あらゆる機会を活用して、模擬投票などの体験や、話し合いを通した合意形成の場を設けていただければと思います。そうすれば、子どもたちが将来大人になったときに、主体的に社会と関わっていける主権者となっていけるのではないかと考えますが、教育委員会のご見解をうかがいます。
本年8月10日に、教育委員会で道徳の教科書が採択されたと伺いました。わが自民党はこの道徳の教科化を国として率先して行って参りましたが、来年度がその1年目となるわけです。
学校における道徳教育は、昭和33年から、「道徳の時間」として始められたものですが、昨今では子どもたちの規範意識の低下が叫ばれるようになり、公共マナーを守れなかったり、いじめや、暴力といったことも、道徳心がないからだと言われるような風潮も強まってきております。荒川区では、郷土資料集を作る等早くから取り組んでまいりましたが、今後、道徳の教科化に当たって、道徳教育をどのように進めていくのかご見解を伺います。
21世紀の社会は、ますますグローバル化が進む中、社会全体が大きな情報の波にもまれ、めまぐるしく変化していくことは最早避けられない状況にあると思います。
昨年4月の第26回産業競争力会議の中で、安倍総理は、第4次産業革命の大波が若者に「社会を変え、世界で活躍する」チャンスを与えるものだとした上で、「初等中等教育からプログラミング教育を必修化する。一人ひとりの習熟度に合わせて学習を支援できるようITを徹底活用する」と、第4次産業革命に向けた人材育成の方向性を示唆したことは記憶に新しいことです。
また、2025年以降に確実にやってくると言われている「第4次産業革命」は、すべての物がインターネットでつながる世界だと言われています。荒川区においては、こうした事態を見通した上で、早くから情報教育に大変に力を入れてきました。
まず、平成24年に全小・中学校の普通教室に電子黒板を導入し、翌年度はモデル校に一人1台体制のタブレットPCを導入、平成26年度からは全国に先駆けて全小・中学校に導入しました。
導入から3年が経った平成28年2月には、実践報告が教育委員会からなされ、今後の方向性としては、「学力」や「教員の意識改革」「情報モラル」のさらなる推進を掲げるとともに、「学校図書館とタブレットPCの相互併用」「情報リテラシーの育成」にも言及していました。
導入直前の質問で、私は「タブレットPCは道具であり、いわゆるツールだ」と申し上げました。今後、情報教育やタブレットPCの活用をさらに進めていく上で、小学校において、平成32年に必修化が予定されているプログラミング教育や、以前から私が提案させていただいているタブレットPCを使った作品コンテストである「デジタル・アート・コンテスト」の活用など、新たな展開についてご見解を伺います。
次に、自然体験のさらなる支援についてお聞きします。
本年3月、荒川区自治総合研究所から、自然体験の有効性に関するレポートが発表されました。その中で、子ども達の健全な成長・発達のためには、自然体験、特に荒川区から離れての非日常的な自然体験が非常に効果があると報告されています。
荒川区では、既に地域の町会や保護者の団体が主催するイベント、あるいは区の事業として、子ども達が自然体験をする機会がありますが、平成28年度には、「自然体験を通した青少年健全育成活動事業」として、宿泊を伴う等一定の条件を満たした活動に補助する制度をつくり、団体の支援を行っています。
今年度はこの補助を利用する団体も増えていると聞いており、都市部の荒川区ならではのきめ細かい支援策として大いに評価をしています。宿泊することによって得ることは大きいと思いますが、郊外への日帰りの活動においても、十分に自然体験から効果が得られると考えています。区民による自然体験の裾野が広がり、子ども達にとって自然体験の機会が増えると考えますが、日帰りの自然体験についての区の見解をお伺いいたします。
次に、ボランティアの活動環境についてお伺いいたします。現在、様々な場面で多くの区民がボランティアとして活動しています。荒川区はもともと下町人情の厚い土地柄もあって、助け合い、支え合いが地域にしっかりと根付いており、この「地域力」は区の強みだと思います。
荒川区のコミュニティカレッジも開講から7年、卒業生達が自主的に実践活動を行うなど、「協働」の芽が確実に育っていると評価しています。東京都では「長期ビジョン」の中で、2020年東京大会開催をテコとして、2024年までにボランティア行動者率(過去1年間にボランティア活動に参加した10歳以上の都民の割合)を今の22.9%から、40%を目指し、東京にボランティア文化が定着するよう動いています。ちなみに荒川区では8,093人もの区民がボランティア登録をしております。
今後、ボランティア活動をより活発にしていくためには、活動の拠点が大事だと考えています。現在は、社会福祉協議会に設置されたボランティアセンターや、区が平成19年度に設置した生涯学習センターにある地域活動サロン「ふらっと・フラット」において地域活動を支援しています。
設置10年近くを経て、まさに「ふらっと」気軽に立ち寄って様々な相談をしていく人も増えており、また人が集うことで情報交換の場となっていると聞いています。一方で、活動団体が打ち合わせやミニイベントを行うには手狭になってきているという声も聞いています。今後より一層、ボランティア活動を支援し育成を図るには、もっと人々が立ち寄りやすい環境にするなど、拠点としての機能アップを図るべきと考えますが、現状に対する区の認識と今後についての見解をお伺いいたします。
ボランティアは平常時ばかりではありません。東日本大震災や熊本地震では、多くのボランティアが被災地に駆け付け、応急対策や復興の上で活躍しました。過去の災害の例を見ても、行政や地域住民だけでの対応は不可能であり、ボランティアの力は必要不可欠だと考えています。
一方で、大地震の発災当初に、ボランティアが現地に行っても、現場のニーズとのマッチングが上手くいかず、活動ができずに帰った人もいたと聞いています。区で災害が発生し、大きな被害があった場合には、区内外から多数のボランティアが支援に集まってくることが予想されます。
現行の「荒川区地域防災計画」には、発災後8時間でボランティアセンターの立ち上げを完了するとあります。大災害時には、全庁的な対応の中、災害ボランティアの受け入れは国保年金課が担当し、区と社会福祉協議会が協働してボランティアセンターの開設と運営を行うと聞いていますが、相当の混乱が予想されます。ボランティアの力を最大限に活かすためには、災害時ボランティアセンターのコーディネート機能を十分発揮させる必要があると考えます。そこで、災害時にはボランティアセンターの実効性のある運営を確保することについての区の見解をお聞かせください。
以上、1回目の質問を終わります。理事者のみなさまには積極的なご答弁をお願いいたします。ありがとうございます。