2021年 一般質問

 自由民主党の明戸まゆみです。昨年度は議長で一年間お世話になりました。予告通り、一般質問に立たせていただきます。機会をお与えくださいました同僚議員の皆様に大きく感謝申し上げます。

 また、新型コロナウィルス感染症もはや2年近くになろうとしています。コロナ対策を最前線で持ち堪えていただいている保健所はじめ職員のみなさまに深く感謝いたします。

 初めに、新型コロナ感染症対策についてお聞きします。計上された新型コロナウイルス対策費は無駄なく最大限有効に執行いただき、また、自民党荒川区議会議員団が9回にわたり提出した要望もお聞き届けいただき、感謝申し上げます。荒川区でも若い世代を中心に感染拡大していますが、できうる限りの方策で区民の命を守って欲しいと考えています。まずは、この危機を乗り越えるために、人員体制も含めて、区全体の取り組み方針についてお聞きします。

 次に、医療体制の確保・区の体制強化についてお聞きします。今回の第4回補正予算では、新型コロナ対策の体制強化の予算を組んでいます。重症者のために区独自で確保しているベッドの増床、自宅療養者への看護師チームの配置や訪問看護ステーションの対応、区医師会と連携・協力した薬の処方体制、また、オンライン診療も24時間にしていただきました。

まず、区は患者発生の届出を医療機関から受け取ると、本人への聴き取りにより入院か療養かの判断を行い、入院となれば東京都が調整しますが、病床がひっ迫する中、区独自の入院病床を大幅に増やしたことは高く評価いたしております。また、ホテル療養も都の調整ですが、先月区内にも宿泊施設が開設され、患者の受入数が増えて入り易くなったと聞き、少し安心しました。

一方、荒川区が受け持つ自宅待機者について、軽症で自宅療養されている方であっても、容態急変に注意しての対応が必要ですし、自宅で入院待ちをする患者さんには、より健康確認に注意し、必要な医療を適切に提供しなくてはいけません。そのためには、医師会や医療機関の協力が必要になるので、連携体制を作ってほしいと考えます。

また、現在行っている自宅療養者への食事の配送について、極力外出しないためには、食事だけでなく生活必需品についてもお困りの方がいらっしゃった場合は、寄り添った対応をお願いしたいと考えています。

加えて、東京都の入院、ホテルの調整がひっ迫し、自宅に残る患者さんが増えれば増えるほど、保健所の職員の負担、緊張感は大きくなっていると思います。毎日健康観察を行い、昼夜を問わず容態の変化に対応して患者さんを支える職員の状態にもしっかり目を向け、急増する業務に耐えられる区の体制についてもぜひ考えていただきたいと思います。いかがでしょうか。

次に、持続可能なワクチン接種体制の整備についてお聞きします。5月から開始されたワクチン接種では、国の相次ぐ方針転換により、自治体の現場は大きく混乱しました。ワクチン特有の取り扱いの難しさもあり、区でも接種に当たり苦労をしたと思います。まずは希望する区民に2回の接種を確実に実施していくことが重要です。荒川区では12歳以上の対象者全体の1回目の接種率は9月1日時点で66.6%です。少なくとも1ヶ月後には約7割の区民が接種済になると期待しています。

順調に進んでいますが、ワクチン接種による免疫の効果は一定期間で低減していくため、イスラエルや米国等では3回目の接種を進める動きがあり、日本においても議論されてます。まだ動向は不透明ですが、継続的に接種の可能性があるとすると、今後接種を進めていくには、これまでの課題を踏まえ、早い段階で国と自治体とが密接に連携し、現場が混乱しないよう接種体制を整備する必要があります。

また、早い抗ウイルス薬の開発が待たれますが、6月会議で我が党の茂木議員が質問した通り、今回と同じ規模の集団接種を来年度以降も実施していくことは難しく、途中縮小しつつ、最終的には地域の診療所等の個別接種で対応する体制へ移行していくべきと考えます。今から将来を見据えて、医師会との連携をさらに強化していくべきだと思いますが、いかがでしょうか。

以上3点について、感染の急拡大によるこの危機的状況を乗り越えるために区としてどう対応していくのか、区長のお考えと、私の考えに対する区の見解についてお伺いします。

 さて、コロナ終息後には、元に戻るよりは、新しい社会へ移行すると言われています。複数の人がキーワードとして挙げるのは「分散型」です。今年区政会館で行なわれた講演会で、荒川区ともご縁のある京都大学の広井教授によれば、「分散型」社会では各人が多様な働き方や生き方をデザインし、創造性を伸ばす時代が令和であるとのことでした。

この変化は、メディアの変化が要因だと思います。第二次大戦がラジオ的社会を基盤としていたように、1995年発売のウィンドウズ95という世界的なインターネットの普及の始まりから25年、コミュニケーションの道具の変化によって人々の心の有り様も大きく変化したのだと思います。

では「分散型」社会とはどんな社会でしょうか。大儀のために排除されて多くの犠牲を強いるのが「中央集権」であったならば、それとは逆の「誰一人取り残さない」SDGsの個を大切にし、尊重するのが分散型社会だと思います。西川区長は時代の変化を読み取り、就任当初から「幸福実感都市あらかわ」を掲げ、全ての区民を大切にする、尊重する、幸福にする区政を行ってこられました。よりいっそう推進していくことを希望いたします。

 コロナ禍で社会は多くの影響を受けています。1つは介護分野です。高齢者の殆どは「不要不急の外出は控え、密を避け」という東京都や政府の呼び掛けに応え、長期間自粛生活を強いられ、筋力や運動機能、コミュニケーションが失われた結果「コロナフレイル」に陥る方が出ています。高齢者のワクチン接種は進み、変異株の出現でまだ予断は許さないものの、全体の接種が進めば、活動の再開を考えても良いと思います。その時、ぜひ行ってほしいフレイル予防策について伺います。

 まずは身体的フレイルについて。以前荒川区では高齢者の方にフレイルを測定する25項目のチェックリストを送っていましたが、最近では活用されていません。私の記憶では、質問の中に尊厳に関わるようなものが混ざっていて区民の方々には不評だったように思います。何か代わるものがないか探すと、5つの指標、体重減少、倦怠感、活動量、握力、通常歩行速度の測定を行うコロンビア大学のフリード氏の基準がありました。この努力すれば改善できる項目の評価基準を使い、自分の体力を定期的に測定する機会を持てないかと思うのです。手書きの健康手帳かカード、またはアプリ等で管理し、測定結果の経過が数字で見え、「まだ維持」「衰えた」と自覚し、運動や活動を増やすきっかけを自分で掴めるというものです。

拠点としては、荒川1丁目の老人福祉センターの「健康アップステーション」の場所で、機能を追加して定期的に測定してもらい、そこにいる指導員が結果を説明、アドバイスをするのが良いと思います。また、複数箇所こういった「健康づくりの拠点」ができれば、よりコロナ後の身体的フレイル予防が進んでいくのではないでしょうか。

また、フレイル予防には、口腔内の健康も大きく関わっています。自民党の要望により今年の4月より開始された75歳歯科検診では、歯と歯肉、嚥下、歯みがきの3項目の指導が行われるそうです。まだ受診者が少ないとのこと。ぜひ意義を広くPRして、フレイル予防に活用していただけるようお願いいたします。

また、精神的・社会的フレイル予防として、ご高齢者への俳句のすすめ、活用についてお聞きします。荒川区では平成27年に「俳句のまち宣言」を行い、積極的に事業を行ってきました。その中に「フォト俳句コンテスト」という俳句と写真を一組で募集し、優秀作品を選ぶ事業があります。優秀作品だけでも、相当数あるのではと思いますが、投稿者に了解をとって、カルタにしていただき、フレイル予防のツールに使えないかと思います。

 集まってカルタをすれば交流の場が生まれるし、カルタの後は認知症の回想療法として話すきっかけになると思います。「今ここ」を切り取る俳句は、季節感や自分のおかれている時間や場所の感覚を失いやすい認知機能の低下から回復するきっかけになると思います。私が参加する句会でも、ご一緒する90歳を過ぎた方々がとても素晴らしい俳句を作られます。俳句のまちとして、その輪が広がれば元気なご高齢者が増えると思います。いかがでしょうか。

区はこれまでも、多くの脳トレ・運動・交流の事業を行い、高齢者の健康を維持していただいていることには感謝しています。コロナ下での現在の取組と「体力測定」「75歳歯科検診PR」「俳句」の施策を実施することについての区の認識をお聞きします。

次に、バーチャル商店街構想を見据えた商業振興についてお聞きします。デジタル庁が今月1日に発足し、マイナンバー普及や行政手続きのデジタル化を目指しています。誰一人取り残さないSDGsの時代ですから、その先に、民間の特に後れ気味の中小企業のデジタル化の推進にも手を貸してもらえるのではないかとの期待をこめて質問いたします。

最近、台湾政府のデジタル担当政務委員、オードリー・タン氏の本を読みました。「青銀共創」という若者と高齢者が共同でクリエイトする試みが台湾であるそうです。年配者は若者からデジタル社会を学び、若者は年配者の知恵や経験を学びます。様々な社会の仕組みについて、高齢者からの声を聞いて調整すると、結果的に障害者にも子育て世代にも使いやすい社会になるということでした。

大変感銘を受けたので、荒川区だったら、誰一人取り残さない「商業・商店街振興」ではないかと考えました。例えば、デジタル仮想空間に荒川区で1つの商店街を作り、商店街の人も個店の人も参加して、対応できる商店主には通販やキャッシュレス決済で参加、そうでない方にはライブカメラ、インターホン、電話を組み合わせて参加してもらいます。訪問者はVRゴーグルを被ってアバターとして歩き回る、あるいは、ポケモンGoのように地図上のマークからお店に入っていくというような仕組を構想してみました。

そんな夢の様な構想なのですが、もちろん一足飛びにはできないと思います。その第一歩として、すでにある商店・商店街のデジタル・キャッシュレス化と非接触型の設備の補助メニューについて、ITに強い専門家をお願いして、商店街を後押ししてはいかがでしょうか。そして時期が来たらバーチャル商店街を作り、区がこれまで進めてきた「魅力ある商品」が見える工夫もして、商店街を含めたアフターコロナの時代をみんなで迎えることができないかと思いますが、いかがでしょうか。

次に、40代以降の求職女性への支援について質問いたします。現在、区内には就職支援施設・窓口が沢山あり、大変ありがたいことと感謝しておりますが、そこからこぼれ落ちそうになっているのが40代以降の求職女性ではないかと、ある相談を受けていて感じました。就職氷河期とその後の労働の市場化が進んだことによる非正規雇用者の孤立、疎外、少子化の影響を真向に受け、このコロナ禍でいよいよ追い詰められて自殺を選択する方もいるのではと心配です。1年以上続くコロナ禍の中、ここ10年ほど減少傾向にあった国内の自殺者数が増加に転じ、2020年は前年より912人増えています。なかでも目立つのが女性の急増で、935人も増加しているそうです。

より仕事を長く勤めなければならない若者に沢山の支援メニューがあるのはもちろん理解しますが、40代以降といっても、この頃は年金の支給開始年齢も遅くなっており、年金が十分でなければ70代までは働いている方も沢山いらっしゃいます。そう考えればあと30年は働く可能性だってあるのです。いま少し時間をかけて資格を取る支援も40代以降の方にもあって良いのではと思います。また、事務職以外にも視野を広げれる工夫、相談しに来やすいような工夫も必要かもしれません。コロナ禍で「私なんか」と考えている方も多いと思われますので、様々なPRツールで今一度周知していただけますようお願いいたします。いかがでしょうか。

次に、ひとり親等の支援についてお聞きします。このコロナ禍の困難の中でより厳しい状況にいるのがひとり親、特にシングルマザーの方々ではないかと思います。コロナ前の2019年の国民生活基礎調査によれば、母子家庭のうち「生活が苦しい」と答えている割合は87%だったそうです。このコロナ禍でさらに厳しい状況に陥っています。そういった背景から、コロナ下の荒川区でもひとり親への現金給付やプレミアム付商店街お買物券販売等の支援を定期的に行ってきました。現在は受付中の全国一律の低所得の子育て世帯に対する子育て世帯生活支援特別給付金がありますが、過酷な時期を生延びるための経済的支援を適切な時期にお願いしたいと思います。

そして、経済的な自立を目指してフルタイムの仕事に就きたい、職業訓練をしたいというシングルマザーの方々のために、区ではハローワークと連携して就労相談も以前より行っておりますが、昨年から今年にかけての現状についてお聞きします。

さて、荒川区は昭和7年に区制を開始しました。明治11年に15区から始まった東京市は、この年、関東大震災後に拡大した周辺市街地を再編して設置された荒川区を含む20区を組み入れて、「大東京市」を形成しました。こうして誕生した荒川区は、来年90周年を迎えますが、その10年後の100周年は1つの大きな節目になると考えます。

今から89年前、荒川区の始まりについて、昭和11年の「荒川区史」に、4町合同で出した「東京市との合併に関する意見書」が引用されており、「帝都百年の長計を樹つる所以なりと確信するものなり(云々)合併するを最も可なりと信ず」とありました。その「荒川区史」はこれまで3回発行されています。最初は昭和11年、次に昭和30年、そして平成元年、中身はそれぞれ違うそうです。2回目と3回目の間は34年ですので、そろそろ次の区史の編纂を考えても良い頃かもしれません。

 昭和7年といえば、日本が国際連盟を脱退する前年、昭和恐慌の余韻の中で軍国主義が影を落とし、満洲国ができ、五•一五事件が起こった年で、尾久初空襲まで10年の年です。そんな中、三河島町、南千住町、尾久町、日暮里町の4町が合併してできた荒川区ですが、混乱もありました。合併する3週間程前の9月9日、22歳と28歳の「煙突男」が32時間も、墨痕鮮やかに下谷町と日暮里町合併の主張を書きつけた白布を、丸の内都庁のコンクリート煙突に垂らして、下の支援者とともにデモンストレーションする事件が起きたということ等は、今は忘れられて区史に残るのみですが、人は変わり忘れるということが常ならば、記録に止めるという仕事も大切なのではないと思います。

直近の荒川区史は平成元年に発行されました。50周年の昭和57年頃から編纂されはじめ、8年間で8,900万円余をかけて完成しています。今の技術ならば、費用の1/3程掛かっている印刷はしないで、デジタルで少しずつ書き足していくという方法もあるかもしれませんし、今の時代に合った形を検討する10年であっても良いかと思います。

ただ、感染症対応で忙しい今、新たに編纂しはじめるのは、なかなか難しいとは思います。それならば、記録した写真や映像など、荒川区の歴史を残したり振り返ったりできるものを整理することからまずは進めていってはいかがでしょうか。できれば区民も巻き込んで情報収集を行っていただければと思います。100周年に向けてと言えばご協力していただける方もいらっしゃると思います。

また、平成10年開館のふるさと文化館も100周年の頃には30年以上経つことになり、壁にかかった年表に続きを加えたり、歴史の教科書も最近は変化してきましたが、常設展示も縄文時代から近代へ並べるのではなく、昭和41年頃の復元家屋と路地という身近な年代から遡っていくルートに変えたり、スペースを広げたりしてリニューアルしても良い頃かもしれません。

さらに、これまで収集した資料を100周年に向けて荒川区の歴史、文化の詰まった荒川ふるさと文化館で企画展等を行ってはと思います。現在実施している「絵葉書にみる近代あらかわ」では、昭和11年の荒川区役所の落成記念絵葉書や、木村伊兵衛が撮った日暮里の風景絵葉書等、昭和の荒川を紹介していますが、今後、広報と連携して荒川区の歴史、文化を区民に広め、100周年に向けた機運醸成を図ってはいかがでしょうか。区の見解をお伺いいたします。

 さて、昭和7年の荒川区は、35区の中で一番人口が多く、約30万人の人々が住んでいました。多い時で映画館が12館、寄席が17軒あり、人の繋がりが多いことによるひと懐っこい下町文化があるように感じます。1970年代に「下町」は再発見されたとする説を説く三浦展(あきら)氏によれば、荒川区は日本橋・浅草に続く「第3下町」とのことです。そして、今が下町再評価のピークであるとも言っています。現在の人々にとって未来は不安なもので、物質的豊かさの追求には関心がなく、使い捨て消費社会にも疑問を抱いているせいで、人間同士のつながりに人々の関心が向かっているとのことでした。

 荒川区には人とつながる文化は人一倍あるのではないかと思います。ご高齢の方々と話していると、だじゃれコミュニケーションが上手な方が多く、経験に基づく深い理解力、寛容さがあります。相手を思いやる「おせっかい」文化もまだまだ健在だと思います。そんな人とつながる文化は「しあわせの新しいものさし」として、荒川区が社会に提示できるものなのかもしれません。ちなみに、われわれ荒川区議会の第1回目の選挙は、昭和7年に実施され、定員44名に対し、108名が立候補し、投票率も80%であったそうです。

 そんな荒川区の行政を担っている荒川区役所において、持続可能な区政運営を確実に行う事は、使命であろうと思います。新型コロナウイルス感染症の拡大は深刻さを増し、収束の兆しは未だ見通せない中で、持続可能な行財政運営を推進していくためには、積み上げ型の「財政フレームの策定」と、需要の低くなった事業の統廃合を行う「サンセット方式」が要になると思います。私たち自民党でもしっかりと進めていくよう強く要望してきました。6月会議における一般質問で、我が党の茂木議員が財政フレームの改定を行うべきとの質問に対し、見直しを行うとの答弁がありましたが、現在の進捗状況についてお伺いいたします。

次に今後の財政需要に対応するための財源確保についてお聞きします。財政フレームを策定したことにより、今後見込まれる財政需要をある程度見通すことができ、そのための財源について、いつどの程度必要になるかが明らかとなりました。これまでも我が党の北城議員や茂木議員が小中学校の順次建て替えや本庁舎の建設に備えて、基金の積み立てを強化すべきと指摘してきましたが、計画的な財源確保については、区としてしっかりと考えていくべきだと思います。今後の財政需要に対応するための財源確保について、改めて、区としてどのように考えているのか見解をお伺いいたします。

本庁舎の建設について、私見を述べさせていただきます。昨年、東京都の公文書館が新しくなり、新宿都庁も30周年ということで企画展を拝見しました。当時、都庁の場所について有楽町駅前か西新宿かの検討をしており、西川区長もその当時現役の都議会議員でらっしゃったので、よくご存知のことと思いますが、面積や地盤、道路・鉄道、利便性、防災関係機関からの距離、等々様々な要素から都庁立地場所について検討しています。人口重心からの距離というのもその1つで、人口重心とは1人1人が同じ重さを持つと仮定して、その地域内の人口が、全体として平衡を保つことのできる点のことだそうで、荒川区のヘソである人口重心がどこかと言えば、平成27年の総務省の調査によれば、花の木交差点の東側の荒川4丁目辺りになるようです。ちなみに荒川区役所は昭和7年から現在の場所が3ヶ所目で、昭和43年に竣工したので、私とほぼ同じ、50年を過ぎて老朽化が著しく、これまでも区役所庁舎の建て替えをという声が議会から出ていました。もし建てるなら、人口重心から近く、鉄道や道路付も考えると、町屋駅に近い場所が良いのではと個人的には思っています。まず用地獲得が課題となると思いますが、例えば、九峡小学校の用地とその周辺の駅前再開発ではと思いました。町屋駅前は選挙のたびに騒がしい場所となり、いつも申し訳ないと感じておりまして、静かな教育環境をと思います。広い道路で分けるとすると4中との小中一貫校を検討できないかと思いますが、まだまだ児童生徒の増える荒川区では難しいようです。ともかく希望としては、新庁舎と議場、大ホールと庁舎前広場、一方通行でない駐車場の入口というものです。新庁舎については、この10年で基金をためつつ、多くの方で様々な意見を出して方向性を決めるのが良いと思います。100周年に向けてまだまだ言い足りないこともありますが、次回に譲りたいと思います。

区役所にとって行財政改革も重要ですが、目的は行政サービスの向上です。中でも、窓口サービスについてお聞きします。区民の方が区役所に来るのは、引越や出産、死亡等、人生の節目に必要な手続のために来ることが多いと思います。こうした窓口について「手続が複雑でわかりにくい」、「すごく待たされた」といった区民の声を聞くことから、これまでもワンストップサービスの導入やおくやみ窓口の設置等、議会で繰り返し議論されてきました。区でも様々検討が行われてきましたが、庁舎の構造上の問題により見送られ、できるだけ丁寧な案内を行う対応に留まってると認識しています。

また現在、新しい生活様式への対応として電子申請のメニューの拡充や郵送申請の際の郵送料の負担等、様々なサービスの拡大を図っています。一方、デジタル庁の創設もあり、政府において行政サービスのデジタル化が推進されており、自治体におけるデジタル化は更に加速すると考えます。デジタル化の大きな目的は、事務の効率化と効率化による余力で一人ひとりを大切にするホスピタリティを充実することと考えています。

最近は、業務本来の目的に向かって、既存の組織や制度を抜本的に見直し、プロセスの視点で、システムをデザインしなおすビジネス・プロセス・リエンジニアリング(BPR)手法も注目されているようですが、そういった方法等も活用し、改めて窓口サービスの改善について検討すべきではないかと思います。

しかし、デジタル庁はできたばかりですし、BPRで改善するとしても、デジタル化の手法を取り入れる場合は、一定の時間と経費を要すると予測されます。その間、窓口を改善できないかというとそうでなく、人によるアナログの手法も用いるなど、実現可能なものから対応していけば良いと思います。区民に寄り添ったより良い窓口サービスについてどうお考えか、区の見解をお伺いいたします。

 荒川区民の方は、子ども達のために何かすることをとても楽しみにしている人が多いのではと思います。それはルース・ベネディクトが『菊と刀』で描いた、幸せな子ども時代の思い出だけで一生我慢しながら暮らせる戦前の日本社会を思い起こさせますが、西川区長がよくお話される「未来社会の守護者」である子ども達のために、何が今できるでしょうか。

一つは子ども達が遊び、学び、成長するためのより良い環境作りだと思います。図書館や公園やITが充実してきました。子ども時代の読書量は大人になってからの各能力の高さにつながりますし、遊ぶことは様々な経験の中で将来についてのモチベーションを高めます。幸福度の高いデンマークでは、宿題を最小限にして、さまざまな体験の時間を大切にしているそうです。『これをやりたい』『これを知りたい』といったモチベーションを持ち、子ども達がそれを実現するための最善の環境を社会が用意することが幸福度の高さにつながっています。ゲームの時間は少なくして、公園だけでなく、もっと様々な体験をしても良いと思います。トンボやザリガニを捕まえるのも良いでしょう。隅田川の側にある荒川区なのにあまり川を活用できる環境がないのも今後の課題かもしれません。駄菓子屋が少なくなった今、子どもに駄菓子屋体験をさせたいと相談にいらっしゃった方もいました。また、よく昔は近所の大人に注意されたと聞きます。注意されながら大切にされていることを実感するのかもしれません。

子育て講演を数多く行っている松居和氏の講演を聞く機会がありました。松居先生が強く勧めておられたのが、荒川区でもコロナ前には少し行っていたようですが、小中学生やお父さんによる幼稚園や保育園の一日保育体験です。「子育て」は、人生で闘う武器を与える「教育」とは違う。子育ては親が自分を見つめ直す作業であり、損得勘定を捨てることに幸せを見出す人間性を耕すものであるそうです。つまり、会社を休んで参加したお父さんが幼児たちと一緒に過ごすことによって「自分はひょっとして他の子ども達にも責任があるのかもしれない」、さらにお父さん達が毎月バーベキューを開いて楽しむ段階になると、子ども達が「ひょっとして自分のお父さんと知り合いのお父さんかもしれない」という部族的感覚が芽生え、人間は孤立しなくなるそうです。この部族感覚は荒川区にまだ色濃く残ってるものだと思います。

また、小中学生の保育体験は4対2が良いそうです。幼児が2。幼児という存在を再認識する事で気付きを得られるとのことです。卒園1ヶ月後の謝恩会も保育園・幼稚園が感謝されるとても良い取り組みだとおっしゃっていました。離婚した家の子はどうするのかという問題が出てくるかもしれません。その質問には、「父親のいない子」は世の中に一人もいないと答えていました。お母さんも同様です。離婚した人は幼少期からその子を知って、親身に相談できる相手を周りに増やす努力をしていけば良いのだと。人間の幸せは悲しみと背中合わせ、現実を正面から受け止めて、どう慰めるかというのは周囲の人の問題だとも言っておられました。この松居先生の話を聞いて、子どものいない私も部族的に「子育て」について質問してみようと思った次第です。まずは、区立保育園の小学生の保育体験の状況と区の認識についてお聞きします。

以上、第1回目の質問を終わります。理事者のみなさまの真摯なご答弁をお願い申し上げます。