一般質問 2010年

一般質問項目
明戸真弓美

 自由民主党の明戸まゆみです。自由民主党 荒川区議会 議員団を代表して、質問をさせていただきます。補欠選挙で当選しましてから2年と1ヶ月。一般質問の機会をお与えいただきました同僚議員の皆様に大きく感謝を申し上げます。
さて、「区政は区民を幸せにするシステム」を標榜する西川区政は区民の「幸福」を区政の目指す究極の目標として掲げ、区政運営に邁進してきました。決意は固く、昨年(財)荒川区自治総合研究所を立ち上げ、創立1年を記念して先月10月28日に「荒川区民総幸福度(GAH)の向上を目指して~この一年の成果」と題したシンポジウムをサンパール荒川で開催しました。神野直彦東大教授による基調講演と4人の大学教授と西川区長によるパネルディスカッションがありました。基礎自治体にこそ「区民総幸福度」を図る新指標を追求する使命がある等々さまざまな意見がでました。
また、『あたたかい地域社会を築くための指標―荒川区民総幸福度』という著書も今年の5月に出版されています。有識者から多くの寄稿で構成されている本書には、ブータン王国の9項目の幸福度指標、生活満足度、サステイナビリティ、創造性、平等など、また、経済学や心理学の視点からも基礎自治体における「幸福の指標」についての検討がされています。今後おそらく荒川区の「幸福の指標」が明らかにされてくることと大いに期待しておりますが、将来これらを区政に活かすという予告もなされていますので、区民の幸福について政策・施策にからめた議論も必要になってくるのではないかと思っております。
前掲書の中で、月尾教授の論文にも名前の出てくるアマルティア・センは、貧困についての研究をしたインド出身の経済学者ですが、「物質的豊かさと「善き生」とを、単純に同一視することはできない。…人の厚生水準を測る物差し…財やサービスを用いて人がどのような状態や行動を取れるかという…物差しで測らなければならない」と言っています。民主党の子ども手当の示すところとは逆に、人がお金だけでは子どもは育てることはできない、そのお金で何ができるか、どう教育するかというところに視点をもたなければならなりません。税金で集めたお金を返して子どもの育成に必要な施設やサービスが十分に利用できないのでは将来に禍根を残すのではないかと思いますが、それはさておき、地方公共団体である荒川区のスタンスとしては、区民が幸福を実感できる環境を整備することだと確認いたします。
私は、区民を幸福へ導く政策の指標の1つは「自律・自立」なのではないかと思います。自立には①身体的自立、②経済的自立、③精神的自立があります。先日、障害者の就労支援をしている方が「障害を持った子たちはずっと他人の手をかりなければ暮らしてこれなかったから、働くことで他の人の役に立てることがうれしい。社会から認められて給料をもらうのがどんなにうれしいことか。最初の給料をもらう時はみんな涙を流しながらもらうんだ」とおっしゃったのを聞いて、自立とはこういうことなんだろうと感動した次第ですが、障害者が職を得て働く例が示すように、自立することは幸せなのです。障害者、子どもやお年寄り、病や介護を得ている方々、引きこもりや生活保護者も含めたすべての区民とその集団である家族や企業の自立の潜在性を最大限に加味して、あたたかく見守り支援できる社会のしくみを政策としてつくっていかなくてはなりません。
もう一つの指標は西川区長がシンポジウムでも述べていたように「協力社会」だと思います。すべての人、つまり、引きこもりやニートの人までをも外に連れ出して参加できる社会の目標があるとすれば、「みんなで協力しながらより良い社会をつくる」というのではないでしょうか。みんなで協力する過程でも幸福は実感できると思います。人類が鋭い牙も爪もトゲもないのにここまでの文明を築くことができたのは、孤立や闘いでなく協力においてであることは行動生態学を出すまでもなく自明の真理だからです。そして、自立した個々人や自立した各集団あっての「協力社会」だと思います。今回は、区民の幸福について、その実現のための政策・施策を考える上で特に重要と思われる「自立」と「協力社会」を切り口に、教育、福祉、商店街振興、区民との協働について質問させていただきます。

まずは、教育について。来年度から小学校で完全実施される「新学習指導要領」では、「21世紀は、新しい知識・情報・技術が政治・経済・文化をはじめ社会のあらゆる領域での活動の基盤として飛躍的に重要性を増す、いわゆる「知識基盤社会」の時代であると言われている。「生きる力」をはぐくむ教育とし、基礎的な知識や技能の習得と思考力、判断力、表現力の育成を強調しています」とあり、表現力についても重要視されることとなりました。
先日、日暮里ふれあい館で開催された「地域子育て教室~遊びで伸びる!子どものコミュニケーション力」という講座を受講しました。講師は、東京学芸大学教授の大熊雅士氏で、「日本の子どものコミュニケーション力が危機的」だという意識から、遊びという共通体験を通して子ども達の「感情表現」を行ったり、「協力」して目的を達成したり、「問題解決」をしたりとコミュニケーション能力を向上させる方法を研究し、実践していました。また、大熊氏はいくつかの自治体で不登校児を減らす活動をしていて、江戸川区では不登校児が1/3になったといいます。また、言葉でさえ隣人との共通体験の中で学びます。目も見えない耳も聞こえない喋ることもできないヘレンケラーに冷たい水の体験とともに「水」という言葉を手の平に指で書いて教えたのはサリバン先生でしたが、「うれしい」「かなしい」等の感情表現はもっと複雑です。これも人と人との共通体験の中でしか得ることはできないのです。学校現場で、自分の感情や考えを言葉で適切に表現できずに、トラブルに発展するケースがありますが、荒川区の子ども達の「生きる力」としてコミュニケーション能力を高めることが将来の「自立」につながっていくと思います。また、大熊氏は今の学校現場では、「協力」の行動原理で動いているのは1/3くらいしかないともおっしゃっていました。授業だけでなく遊びも含めた普段の学校生活での行動原理に「協力」や「問題解決」を取り入れ、押しつけでなく自ら考え体験しながら学ぶことが、将来、社会の中で人と「協力」しながら生活できるように育成していくことになると考えます。2006年以降小中高校で行われるようになったキャリア教育や、自分で意思決定し行動できることを目ざす人権教育にもつながるところですが、これまでの取り組みの現状と、今後どのような具体的取組みの可能性があるかを伺います。

これまで学校教育の中ではあまり現代史や社会のしくみについて積極的に教えてこられませんでしたが、「新学習指導要領」では、小学6年生の社会科で教科の目標として、「これまでの「政治の制度や機構に深入りしないように配慮すること」という内容の取扱いを削除し、新たに『国会と内閣と裁判所の三権相互の関連、国民の司法参加』を加えた」とあり、そして、道徳教育の目標には「公共の精神を尊び」を今回から加えたとあります。義務教育において憲法や民主主義をしっかりと教える時代が来たと期待するところですが、というのも日暮里のある方のお話を聞いて考え込んだことがあります。「戦後、中学時に読んだ副読本で、憲法のことが分り易く書かれたものがあった。戦前のものとは区別された「新しい憲法」についてだったが、70歳を超えた今でも生きていく上での心のよりどころになっている」とおっしゃっていました。私が児童・生徒だった頃にはもちろん憲法や民主主義についてはそれほど授業の中でしっかりと教わったという記憶はなかったので、その時は「どうして今はないのでしょう」と答えておりましたが、いつからか政治や地域自治に関心を持つ社会的な素養を削がれていた時代が続いていたのではないかと思います。時代は大きく変わってきました。「社会のしくみ」を正しく理解して、時代の変化を感じ、自ら対処できる価値判断や意見を持ち、自分の責任で行動する人間をつくっていかなければなりません。「かわいい子には旅をさせよ」という言葉がありますが、荒川区の子ども達は、将来、地域社会や日本社会、また世界へ羽ばたく可能性のある子ども達です。「社会のしくみ」が分らないままでは心もとありません。そのためには、民主国家である日本人の一員として、自国の憲法をきちんと学び、民主主義について正しく理解したうえで、自立した日本人として世界の中で活躍することが日本の発展につながるものと考えます。先行して行われている「新学習指導要領」で、子ども達を将来自立させるためにどのように地方自治体として教育していくか、これまでの取り組みの現状と変化について伺います。来年度から実施の新「学習指導要領」では、小学校の社会の時間は3年から6年まで4年間で345時間から20時間多くなり、24年度から実施の中学校の新「学習指導要領」では中学3年生の社会科の時間が85時間から140時間に55時間も増えます。よもや時間がないので「社会のしくみ」について省略しながらということはないと思います。地方自治については特にわれわれはより正しく子ども達に理解してもらう責務があると思います。この区役所内や議場の見学もしてもらいながらぜひ分りやすい授業をしていただけると良いと思います。

次に「支えあい見守りあい事業」の充実についてお伺いいたします。中野しづよさんという横浜市で活躍のNPOの理事長さんのお話を伺う機会がありました。「誰でもが安心して普通に暮らせる町づくり」を目指して、介護保険事業や助け合い事業、横浜市の障害福祉、難病・高齢者・産後ホームヘルプなど行っている方で、その現場から吸収した知恵の豊富なことは他の講師の群を抜いていました。退院後の在宅生活に不安がある高齢者でも(この団体の場合は、こういった方々のために家を1軒建てて)「本人力アップ・家族力アップ・地域力アップ」して元の生活に戻すことができたということをディスカッションの中でおっしゃられましたので、シンポジウム終了後、「地域力アップ」について少し聞くと、「周りの人をたきつける。民生委員本人は動かないで言うだけ。でも『見守りして』なんて言っちゃだめよ。買い物行くにも後ろからついて行って陰で見てるなんてことがあるから。1つの小さな具体的なお願いをするの。地域には必ずそういうことに関心のある人がいるからそういう人を数人捕まえて、小さくて具体的なお願いを1つだけ。この人がいついつ病院に行くと言ってるから連れて行ってあげてねとか、毎週何曜日にここに行くから朝ノックだけしてあげてねと(後段で出てくる認知症サポーターの講座を受けた時にゴミ出しの日を知らせるというのもいいなと思いましたが)。そういう人達はすでに心の準備はできているから、見守りの必要な人1人に対して5~6人。段々『この人をみてあげよう』という小さな責任感が出てくる。これが地域力アップ」と実にチャーミングに答えていただいてすっかりうれしくなったのですが、確かに民生委員1人に対して数百人の対象者がいることを思えば、民生委員が1人でがんばるよりは、地域力をアップさせて多くの人を少しづつ関わらせることで負担と責任を分散するという方法は検討してみる価値があると思いました。一方、荒川区民の地域力には実にこころあたたまるものがあります。入院した友人の看護を親身になって毎日した方の話、近所で足の悪くなったおばあちゃんに腕を貸しながら一緒に毎朝接骨院に通う方のお話を聞いていますと、すでに荒川区にはそういった心は息づいているんだなぁと思いますが、もう一方で人間関係をつくれなくて孤立しつつある方のいることも事実だろうと思います。一人暮らしのお年寄りや病後の方々は、地域の「1つの小さな具体的なお願い」による見守りで、自立した生活を送ることができると思われますが、こういった民生委員を中心とした仕組みづくりができるかどうかについて伺います。

次に商店街振興について伺います。今年も年末の商店街の売り出しに合せて、プレミアム付き区内共通い買い物券の1割のプレミアムを区で補助させていただくところですが、リーマンショック以来の長引く景気低迷で区内商店街は相変わらず厳しい状況に置かれています。商店街に賑わいを取り戻すことは、街の活性化につながるものであり、積極的に支援すべきであると思います。自治総合研究所のシンポジウムの際に荒川区の特徴としてパネリストの声にもあがった言葉で、「スローライフ」という言葉があります。地産地消や歩行型社会を目指す生活様式を指す言葉ですが、1990年頃のバブル経済の時期に、ファストフードに代表される大量生産・高速型のライフスタイルや、モータリゼーションの進展による都市の郊外化が進んで行きました。これに伴い、町中の商店街は全国的に衰退をみせました。「ファスト」「大量生産」の対抗軸として「スローライフ」という暮らしやまちづくりを見つめ直す運動が日本の地方都市でも取り入れられています。この「スローライフ」の考え方を商店街づくりに取り入れてみてはどうかと思います。特徴としては「持続可能性」「健康」「能力開発」「エコ」の側面があります。しかし、どういったことをしようとも、歴然としているのは、大企業と比べて「資本力不足」「広告費」「人手不足」であることであり、地方自治体は商店街の自立を目指してあたたかく支援していかなければならないと思います。不況の根源は不信感です。どう物を売るのかでなくて、どう信頼感を取り戻すかがまずは求められるところでしょう。
「資本力」で言えば、共同購入を視野に入れた、昨年実施の「見本市」もサンパールで商品を売ることでなくて、まずは生産者と小売店のご主人達の間を取り持っての交流会で時間をかけて仲良くなってからだったのではないかと思われました。生産者がITを使っての販売、あるいは卸売業自体が小売りに転換してしまう例もあり、流通環境も変化してきています。また、消費者との仲を取り持とうとした「商店街サポーター」事業も意欲のある人がクレーマーに終始するというなら、ランダムに1,000人選んで手紙を送ると1割の100人は応募してくるということを言っていたのは横浜市の市役所の方でしたが、そういう方法もあると思います。一緒に仕入れツアーに行ってみるとか、一人暮らし世帯に対応した計り売りの販売方法とかが具体的に検討できると良いと思います。
ハードでいえば、お年寄りの「健康」―身体的自立のために商店街内にベンチを置いて、商店街に散歩に来てくださいというのを行ってはいかがでしょう。熊野前商店街では今年の春から店先に可動式のベンチがありますが、お年寄りが休んだり、知合い同士で会話している様子が見られます。オープンスペースのある商店街にはベンチは置きやすいと思いますし、今年の夏は暑かったので木陰もあると良いなぁと思いました。全国の商店街活性の取り組みの中に、まちなかコンサートやファッションショーを行っている例がありました。人がたまっていればこそ、そういったイベントもできると思います。以前質問した「商店街ボランティア」が実現すれば、その中にこういったイベントをプロデュースする人か、音楽のできる人がいればさらなる賑わいもつくることができると思います。これは「自己開発」につながると思います。
最近、板橋区の商店街で行われている認知症サポートについて、荒川区の商店街でもすでに「一声かけたり」「支援」したりする姿が見られますが、お店の店員さん達にちょっとした講座を受けてもらうだけでより対応が良くなるということもあるかもしれません。私も先日、尾久地区の地域包括センターのある信愛のぞみの里で開催された「認知症サポーター100万人キャラバン」の養成講座に参加してきましたが、10人以上の集まりに講師を派遣できるそうなので、商店街に呼び掛けて協力してもらえると良いと思います。
「エコ」の面で言えば、信頼のある長いつきあいというのが日本企業の伝統的な特徴だと思っていましたが、「ファスト」「大量生産」の時代にすたれてしまった部分に、メンテナンスが行えなくて商品を長く使えなくなった状況があります。区内には今でも時計や靴の修繕ができるところもありますし、電気製品でも部品を特注してでも修理をしてくれるというのも割高でも、区内のネットワークで実現できれば良いと思います。
 商店街活性化の手法に「一店逸品運動」がありますが、生産者と消費者と交流しながら商品開発ができて地域の特産となったり、地域を支える活動をコミュニティの核として行ったなら、「スローな商店街」として半額でも良いので「広告」してもらいたいと思います。磁場産業の大きな推進力になると思います。以上、様々なことを提案させていただきましたが、本当はまだまだあります。昨年福祉・区民生活委員会で視察に行った長崎県佐世保市の四ヶ町商店街の竹本理事長は、荒川区でも講演されましたが、二番煎じでもいいからで良いことはすべてやるとおっしゃっていました。ぜひできることからで良いので実現していただければと思います。ご検討をお願いいたします。
 
荒川区の基本理念の1つに「区民の主体的なまちづくりへの参画」というのがあり、『あたたかい地域社会を築くための指標』の本の中では、広井教授の「創造的福祉社会」や阿久戸教授のすべての人が「チャレンジド」であるということにあたるのだと思います。基本理念を推進していくために、「区民カレッジ」を開校した今、区民の理解を得て、区民の主体的発意による事業の「公共性に資する」部分について地方自治体が支援していくという形は全国的にも広がってきたところですが、荒川区でもこれから取り組んでいかなければならないことだと思います。来年にひかえた「都電100年記念」も区のイベント開催はもちろんですが、区民との協働の観点でもすすめていっていただきたいという期待はあります。
さて、近年、荒川区においては様々な芸術活動が盛んになってきているように思われます。例えば、南千住地域で開催されているフロッタージュという技法を活かした「町の記憶プロジェクト」や、荒川区を拠点とする東京藝術大学出身の若手芸術家グループ「アプリュス」による制作活動、区長賞を受賞した東京藝術大学の卒業彫刻作品の区内設置、世界的な活躍をしている美術家、川俣正氏による、汐入公園に塔を建てる東京インプログレスなど、実に多彩な事業が行われるようになってきました。越後地区や瀬戸内海地区においては、3年に1回のトリエンナーレ形式で、広大な土地を美術館に見立て、多くのアーティストと地域住民が協働して、芸術作品を地域全体で発表する芸術祭を開催しており、地域の活性化に大きな効果をあげています。荒川区においても、現在の芸術活動が盛り上がってきた機運に乗じて、区関連の芸術家が協働し、区全体を使って作品を発表するようなアートイベントの開催を提案したいと思います。そして、伝統工芸ともつなげて、ものづくりのまち荒川区をPRできると良いと考えますが、実現性についてお伺いいたします。
以上、前向きなご答弁をお願いして第一回目の質問を終わります。

区長、教育長、担当部長による積極的なご答弁ありがとうございます。
新学習指導要領におけるコミュニケーション能力育成については、図書館の活用や電子黒板による言語活動の充実も良いですが、加えてアナログの「共通体験」の強化もお願いいたします。理科や社会、総合的な学習の時間以外の課外活動の部分でも「協力」原理による活動は可能だと思いますし、第一回目の質問で例を出した講座は社会教育課の事業でしたが、学童や放課後子どもプラン等の定期的に行っている職員の研修でも取り入れていくことができると思います。
また、「支えあい見守りあいネットワーク事業」の充実を「1つの小さな具体的なお願い」でというのについては、すでに一部の区内のご高齢者はご近所同士でできていることですので、実現は難しくないと思います。荒川区と民生委員が一体となって区民をつなぐ潤滑油になることができれば、これからの高齢化にも対応できると思います。答弁の中に「プラチナ構想ネットワーク」の箇所で「急激に進む高齢化」などの重要課題をあげていましたが、「少子化」をくい止めることも1つの方策だと思います。残業時間が多く、有給休暇消化日数が少ない日本人の労働環境やワークライフバランス等の観点からの制度改革が叫ばれているところです。過疎地を多く抱えている東北出身の私が感じることとしては、「子どものいなくなった」社会ほどさびしいものはありません。「子どもを安心して産み、育てることのできる社会」は「仕事があり」「家族を養える給料があり」「家族と過ごすことのできる時間があり」「文化的な生活を送れる余暇もある」自立した個人と「親子で、兄弟で、地域で、会社で、また社会で協力しあえる」協力関係がかかせません。幸い荒川区は、子育て支援を懸命に行った結果、子どもの数が増えてきてはいますが、働き方や余暇の過ごし方、つまりライフスタイルをもう一度見直さないと、「家族の愛情を受けないまま育った子ども」や「苦労をいとい楽をすることばかり考える子ども」が育って大人になった時には、荒川区は将来ギスギスした社会になってしまう可能性もあると思います。仕事・効率優先でなく、日常生活も。このことはコミュニティの中核である商店街にもつながってきます。「スローライフ」はこういった意味での提案でもありました。小学生の商店街で勤労体験する「勤労留学」についても言及されていましたが、尾久のある方からこんなお話を聞きました。今は70の齢も越えた「文ちゃん」が小学校の頃に近所のサラダ屋さんに遊びに行くと、ポテトサラダをつくるのに大きな鍋で茹でたじゃがいもをつぶす時、うちわであおぐ役割をまかされて一生懸命あおぐと美味しいじゃがいもを1つくれる、家にもって帰って母親に茹でてもらって食べるのがうれしかったという思い出を教えてくださいました。労働は楽しいものという実感は、地域教育力のある商店街で荒川区では今も昔も育まれているのだなぁと思います。
商店街振興については、私が区議会議員でいるかぎり毎回質問・提案させていこうと思いますが、大筋は合意いただいたようですが、具体的なところで「共同仕入れ」「見本市」「商店街サポーター」事業の再検討、「ベンチ設置」「商店街ボランティア」「認知症サポート」「エコの観点での修理体制の確立」「広告補助」について再度ご検討をお願いいたします。
最後にアートイベントについてはぜひともご検討をお願いいたします。
区民を幸福にするシステムである区政を「自立と協力の指標」で評価・提案させていただきました。「GHA NEWS」に他地域に比べて荒川区のお年寄りが幸福と感じる率が50代以降上昇していくというデータが載せられていましたが、ある方によれば、荒川区にお嫁に来た昔は家族も大人数で主婦の仕事はたいへんだったし、お姑さんと同居をしていたから色々あった。その当時と比べれば今は夫婦2人で楽になったから。まだ健康で、近所に話し相手もいるからねとおっしゃっていました。
これからも荒川の明るい未来の戸をあけていきたい明戸まゆみです。ありがとうございました。